第一課


最近ブックオフ谷甲州さんの『最後の戦闘航海』という小説を見つけて読みました。
航空宇宙軍史というシリーズものの一つらしいのですが、はじめて単体で読んでも十分意味が通じて面白かったですよ。
ハードSFっていいよなと思わせる硬質の文体とリアリティがよい感じに混ざっており、ブレードランナーから混沌さを引いて悲しみを抜き出したような余韻ののこる素晴らしい作品でした。
ただ谷甲州さんは多分自身が好漢すぎて、好漢を描くことは得意でも悪漢や人間の悪意を描くのは下手なのかもと思いました。骨太で基本的に真面目な好漢たちが次々に現れる様は、なんとなくかわぐちかいじの漫画の雰囲気に似ているかもしれません。多分女を描くのも下手だと思う。