第一課


最近youtubeで「まんが日本昔ばなし」を見るのが楽しみになっているのですが、特に「わらび長者」と「猿神退治」がとても良い出来で、みなさんに紹介したいのです。
youtube「わらび長者」
youtube「猿神退治」
「わらび長者」は余命幾ばくも無いかと思われる長者が、己の権力に飽きて自然の摂理と対立し屈服させようとするお話で、満ち足りた者の孤独を良く現している作品です。長者の造詣がとても優れていて、善悪定かならぬというか、善悪を超えたところに立つ者の孤独を良く現しています。また、作品後半の狂気の舞と、ひらひらと落ちていく扇子の描写がとても美しく、無常感に溢れています。大人向けのお話です。
「猿神退治」は知っている人も多いかと思います。この作品では原作の早太郎の死が端折られているのですが、かえって死を明示しないことで、深い余韻を残すことに成功しています。雪原に点々と続く血の様な足跡と、「早太郎は怪物を退治すると、そのまままた信州のお寺へと向かって帰っていきました。長い道のりをただ一人、また帰っていきました」というナレーションが、早太郎は無事ではすまなかったという事を暗示させていてとても心うたれます。早太郎をつれてきた坊様の目が潤んだようにゆれているのも、悲しみを倍化させます。はっきり表現しないけれども、印象的なディティールを積み重ねていくことで、これほどまでに物語に深い味わいをもたせることができるのだなと、感心仕切りでした。先生の目も多分ゆれていたと思います。
この2作品は本当にお勧めですので、暮れ正月に暇な時間があったら是非見てみてください。